行政書士試験の学習を始めてから、法律のダイナミズムを一番に感じるのは民法の学習ではないでしょうか。
行政書士を志し、この文章を読んでいらっしゃる方の中で、ドラマやコミックの「カバチタレ」シリーズを見たあるいは、読んでいらっしゃる方もいるかもしれません。
行政書士の実務として民法の知識はきってもきれないものです。
実際、行政書士実務の中で一般顧客からの相談が最も多いのが民法の分野であると言えます。
お金の貸し借りから始まる金銭消費貸借契約、売買契約などの契約各論、そして筆者が得意としていた相続、そして、成年後見制度、内容証明を書くにしても、民法の基本原則というものは必須の知識です。
しかしながら、民法の条文は非常に多く、1000条を軽く超えます。
この条文をすべて覚える必要があるのかというとそうではありません。
行政書士試験は試験科目が多岐に及ぶため、広く浅い知識をいかに効率的に習得するかという点が行政書士試験合格への近道です。
他の科目以上に民法は内容が広範に及ぶため、逆に言いますと広く浅い知識だけで結構です。
結論から言いますと、行政書士試験における民法の対策は徹底した過去問の分析及び反復練習にかかっていると筆者は考えます。
とにかく、反復して過去の行政書士試験に出た問題を解き解答の内容を身に着けることができれば、十分です。
行政書士試験は6割の正答率があれば、合格できる試験です。
7割得点できればまず大丈夫なわけです。そして、過去問は6割近く同じ分野で出題されているのです。
その分野をきちんと押さえてしまい、6割の力で民法を抑えてしまい、他の科目で点数を稼ぐということも戦略の一つであると言えます。
それでは以下、行政書士試験の民法対策について言及していきたいと思います。
行政書士試験を突破するために民法は重要?
「行政書士試験を突破するために民法は重要でしょうか?」という問いに対しては、「非常に重要です」と返答するしかありません。
逆に、民法に苦手意識がある程度ならまだしも、民法が不得意という人は行政書士試験に合格することはできませんし、また、実務家として行政書士になるべきではないくらいに筆者は考えています。
もちろん、人間ですから得手不得手があるのは仕方がないものですが、民法の正確な知識なしに顧客と話をすることなど法律実務家にとってはふさわしくないからです。
以上のような点でも民法は将来のご自身のために重要な科目であると言えます。
では、次に、実際の行政書士本試験での民法の出題について言及したいと思います。
民法の出題数と得点配分は、5肢択一が4点×9問、記述式が20点×2問の計76点となっています。
行政書士試験300点満点中の25%を占めるという行政書士試験突破のためには非常に重要な科目です。
また、行政書士という職業にどれほど民法が密接に関連しているかということを暗に示している数字であると言えます。
また、記述式が2問出題され、配点も非常に大きいと言えます。
ですので、完璧に満点をとらないまでも、10回記述式を解いて6回くらいは満点がかけるくらいの知識で十分です。
そして、いかに部分点を稼いでいくのかということが記述試験対策になります。
また、難易度に関しては実際のところそこまで高度な知識を問われるということはありませんし、ひねったような問題は出題されません。
どちらかというと、ストレートに原則論と例外論をきちんと押さえていれば問題ありませんし、各問題の肢を比較的簡単に取捨選択できます。
しかし、法律初学者にとって、民法は問題論点自体が多岐に及びますので、混乱することもあるかと思います。
きちんと細かい論点の差異についても抑えていう必要があります。
民法の合格に一番近い勉強法は?
以上、民法の出題数及び配点について述べさせていただきました。
本文を読んで、行政書士試験の学習にしり込みをする必要はありませんし恐怖を覚える必要もありません。
行政書士試験は6割の合格点で合格できる試験です。
効率的に合格への道を歩むためへの学習方法についてお話をさせて頂きます。
優先順位1:判例
民法は基本的に知識問題ばかりです。
記述式試験についてはある程度の文章力が必要ですが、論点に合わせた知識を文章化するだけですので、知っていれば解けますし、知らなければ解けない露骨な科目であると言えます。
その中で、最も優先度が高いのが判例の学習です。
法律初学者にとって、判例はその独特な言い回しになれずに得点を稼ぐことができないケースが多々あります。
しかし、5肢択一の問題である以上、一文の中でどこかが間違っているか、あるいは、あっているかの選択の繰り返しです。
それを正確にかつ迅速に見極めるためには知識の集積しかありません。
判例についてもその独特な言い回しの中で、原則論と例外論を正確に把握することが合格への道筋となります。
最初は慣れないかもしれませんが、テキストや過去問で論点を見ていても、実際のところ、その条文が社会生活の中でどういう問題に関してどういう解決方法をとるために、民法で定められているのか想像がつかないケースが多々出てくると思います。
そうであるならば、実際に紛争となり裁判となり、その結果としてどのような結論を下されたのかを具体例となる判例で学習することこそ、合格への早道であると筆者は考えます。
また、単純な条文の知識問題よりも、判例に関する問題の方こそ、出題数が多い傾向にあります。
それほど、法律実務家にとって判例というものは重要であると言えるのです。
優先順位2:条文
基本的な法律科目の学習は条文を抑えていくことです。
しかし民法の条文を一度でも読んだことがある方ならばご存知だと思いますが、民法の条文は非常に難解で、基本的な法律用語を知っていなければ理解できない条文もあります。
また、実際にどのような社会家財活動の中での起こりうる問題の解決方法を示唆しているかわかりにくいと言えます。
ですので、民法の学習については重要な論点については特に判例を抑えてしまい、実際にどのような当事者がどのような主張をし、どのような条文をどのように解釈して解決していったのかという判例を学べば、そこからその条文がどういう紛争になるであろう問題点を解決する予定であるのかということを読み取ることができます。
本来は条文を踏まえてから判例に取り組むべきところですが、民法に関しては、判例を理解していれば、条文も自ずと勉強しやくなります。
テキストや判例を読み進めながらきちんと六法で条文をひいていくことをお勧めします。
民法で大事なのは問題をよく読むこと
民法の本試験対策で重要なことは、至極まっとうな、当たり前の話ですが、問題文をよく読むことです。
いきなり設問を見るのではなく、問題文がどう書かれているかを読み解く必要があります。
特に、民法はほかの科目と異なり、事例形式で登場人物が複数いるケースが多々あります。
ですので、どの登場人物がどのような主張をしているのか、それらを整理してから問題を解くことをお勧めします。
終わりに
民法は先に述べたように行政書士をはじめとする法律実務家の実務に直結します。
ですので、法律実務家としての資質を見極めるのに非常に役立つため、出題数及び配点共に高い科目となっています。
簡単なテキストをざっくりとよんだら、とにかく過去問にふれて知識を習得することが合格への最短距離です。
一度で全問を間違いなく解ける必要はありません。
最初はわからなければ回答をすぐに見ればいいのです。
最終的に行政書士の試験当日に6割とれば合格できる試験なのですから、4割は間違えることができるのです。
そして、最終的にそれまでにいくら間違えていても行政書士試験当日に正解すればいいのです。
民法をはじめとする知識問題は覚えていれば簡単にかつ短時間で解けますし、得点を稼ぐことができます。
皆様、九九は言えますよね。5×6の答えはすぐに頭に思い浮かびますよね。
法律と雖も、民法と雖も、知識問題というのは九九と一緒なのだと筆者は考えています。
知っていれば解けますし、知らなければ、いくら考えても解くことはできません。
過去問集を解いている時に覚えていなくても、けして自分を卑下する必要はありません。
行政書士試験当日に解けたら全く問題がないのです。
リラックスして学習し、行政書士試験に臨んでほしいと思います。
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